土屋隆夫 Tsuchiya Takao
1949年に「「罪深き死」の構図」でデビュー。
1963年に『影の告発』で第13回日本推理作家協会賞受賞。
第5回日本ミステリー文学大賞受賞。
著作リスト
長編 作品集 中・短編 その他 天狗の面
天国は遠すぎる
危険な童話
影の告発
赤の組曲
針の誘い
妻に捧げる犯罪
盲目の鴉
不安な産声
華やかな喪服
ミレイの囚人
聖悪女
物狂い肌の告白
変てこな葬列
芥川龍之介の推理
地図にない道
気まぐれな死体
穴の牙
推理学入門
九十九点の犯罪
死者は訴えない
孤独な殺人者
寒い夫婦
ねじれた部屋
媚薬の旅
深夜の法廷
午前十時の女
土屋隆夫推理小説集成2
土屋隆夫推理小説集成4
土屋隆夫推理小説集成1
土屋隆夫推理小説集成3
土屋隆夫推理小説集成5
土屋隆夫推理小説集成7
影の告発〈新装版〉
危険な童話〈新装版〉
針の誘い〈新装版〉
土屋隆夫推理小説集成6
天国は遠すぎる〈新装版〉
赤の組曲〈新装版〉
妻に捧げる犯罪〈新装版〉
土屋隆夫推理小説集成8
不安な産声〈新装版〉「罪深き死」の構図
夜行列車
民主主義殺人事件
傷だらけの街
ゆがんだ絵
小さな鬼たち
二枚の百円札
孤独な殺人者
奇妙な再会
肌の告白
判事よ自らを裁け
変てこな葬列
情事の背景
開いて、跳んだ
九十九点の犯罪
見えない手
寒い夫婦
穴の設計書
ねじれた部屋
美の犯罪
死の接点
穴を埋める
夜の判決
穴の眠り
穴の勝敗
縄の証言
空中階段
正当防衛
淫らな骨
加えて、消した
天国問答
穴の周辺
穴の上下
穴の終曲
Xの被害者
芥川龍之介の推理
夫か 妻か
淫らな証人
わがままな死体
盲目物語
泥の文学碑
媚薬の旅
しつこい自殺者
気まぐれな死体
風にヒラヒラ物語
半分になった男
深夜の法廷
花夫婦心中・評論
推理小説作法
「罪深き死」の構図
初出:「別冊宝石」掲載(1949年12月)
→「別冊幻影城 土屋隆夫」再録
→『青い帽子の物語』収録
→『ねじれた部屋』収録
→『土屋隆夫推理小説集成7』収録
天狗の面
初出:版元不明(1958年06月)
角川書店/角川文庫 緑406-2(1975年08月) 解説:中島河太郎
牛伏村に興った新興宗教・天狗教。呪文と打ち鳴らされる太鼓の音の響く、その祭事の最中に通報を受けた村の新任巡査は飛び込んだ。そこは血まみれの男を囲んで合掌して狂ったように踊る天狗教の信者たち、という異様な光景が――。
ただちに本署へと連絡が入り、警察の者たちが続々と詰めかける。そして検死の結果、死んだ男の胃からは猛毒の農薬が発見され、毒殺されたことが判明する。――が、現場の状況からして男はいつ毒を飲まされたのかまったく解らなかった。
村議選挙に天狗教を利用しようとする男、自分を天皇だと思いこんでいる狂人、そして天狗教教祖の女――因習、政治、宗教の入り交じる本格推理の傑作。
いわば横溝ワールドです。でも著者は本格推理の巨匠・土屋隆夫氏です。その巨匠の処女長編ですから面白くないわけがありません。
雰囲気ももろに僕好み。ドロドロ〜、ドロドロ〜、ってな感じが良いんです。こんな作風だとは思ってもいませんでしたねえ。先ずそれが意外でした。
文章がとっても美しいです。純文学を読んでいる感じです(純文学はあまり読んでないくせにそんなこと言っても良いのか)。
著者の持論は「事件÷推理=解決」だそうです。つまり、事件を推理で解いたならば、その解決には一つのあまりもあってはならない、ということだそうです。なんて素敵なんでしょう。惚れそうです(笑)。
んで実践してしまってるんですから参ってしまいますよ。なにげに「毒殺講義」っぽいものもあったりして興味深いですし。
推理部分は文句無しでしょう。トリックも解りそうで解らないもの――盲点でした。そうか、言われてみればあの方法しかねえや、と納得してしまいます。
つまりオススメなんです。読みましょう。
Update:2001/10/05
奇妙な再会
初出:「宝石」掲載(1958年12月)
→『天国は遠すぎる〈新装版〉』収録
天国は遠すぎる
初出:版元不明(1959年01月)
角川書店/角川文庫 緑406-1(1975年09月) 解説:荒正人
判事よ自らを裁け
初出:「宝石」掲載(1960年12月)
→『判事よ自らを裁け』収録
→『危険な童話〈新装版〉』収録
危険な童話
初出:版元不明(1961年05月)
角川書店/角川文庫 緑406-3(1975年10月) 解説:権田萬治
→『危険な童話〈新装版〉』収録
傷害致死の罪で服役していた男が仮釈放された。
ピアノ教師をしている女性がいた。彼女は数年前に夫を亡くし、幼い娘を養いながら細々と生活をしていた。そんな折、その仮釈放された男は彼女の自宅へと訪れた。彼女らは義理のいとこ同士だったためだ。
そして今彼女の自宅には警察が駆けつけていた。居間の炬燵でその男が血に浸って死んでいたのである。死因は鋭利な刃物で背中を一突きにされたためであった。しかしその肝心の凶器が現場からもそして現場周辺からも発見されなかったのだ。警察は状況証拠からピアノ教師を逮捕するのだが、物的証拠が見つからず彼女を検挙するまでには至らない。
刑事たちの必死の捜査が続く中、一つの手紙が警察署に寄せられた。
──コロシタノハ・男ダ オレガ・トオリガガリニ見タ
この手紙に信憑性を与えていたのは、現場に居合わせた事件の関係者にしか知り得ないはずの情報が含まれていたためである。殺したのは男──彼女は犯人ではないのか? 刑事たちの苦悩は続いた。
これは傑作。地味は地味かも知れませんが……そこがまた良いのですよ。うん。
あらすじには書いていませんが、この作品の冒頭にはある同人作家の死の顛末がつづられているのですね。で、彼は『月女抄』という童話を書いていたんです。このエピソードがどう絡んでくるのか。そこがまず読みどころ。そして各章の冒頭にはその童話を思わせる(というかその童話なのかな?)文章が数行添えられているのです。これが何とも思わせぶりで、読ませてくれます。
次の読みどころは準密室ともいえる舞台設定。これも上のあらすじからは解らないですけど(笑)。その準密室内からの凶器消失。この設定も魅力的でした。
そして何より犯人の仕掛けた心理トリック。これはお見事。先に挙げた思わせぶりなアレやコレも見事に集束して素晴らしいトリックの伏線となっています。凶器消失のトリックも面白いのは面白いのですが、この心理トリックのインパクトが凄くて霞んでしまいました(笑)。
いや〜読んで良かった。
Update:2003/01/06
変てこな葬列
初出:「宝石」掲載(1961年07月)
→『変てこな葬列』収録
→『危険な童話〈新装版〉』収録
情事の背景
初出:「オール讀物」掲載(1962年03月)
→『孤独な殺人者』収録
→『危険な童話〈新装版〉』収録
影の告発
初出:「宝石」連載(1962年05月〜12月)
角川書店/角川文庫 緑406-8(1977年02月) 解説:権田萬治
→『影の告発〈新装版〉』収録
アイドルのショーを見に来た客や修学旅行生らで混雑する、東都デパートのエレベーター内で殺人事件が発生した。被害者の中年男性は、臀部に注射器のようなもので毒物を注入され死に至らしめられた。そして、現場のエレベーター内には一枚の名刺が落ちていたのである……。
偶然、そのデパートで開催された、書道の展覧会に訪れていた東京地検の千草泰輔検事は、部下の野本刑事と共に事件を追い始める。しかし、唯一の手がかりである名刺から辿っていった容疑者たちには皆アリバイがあった……。
傑作だ!
もうこの一言に尽きるわけですが。
エレベーター内での不可解な殺人事件という魅力的な発端。それぞれの章の冒頭で描かれる謎めいたシーン、といった巧みな構成。そして、単純にして盲点のアリバイトリック。う〜ん、今、書きながら思い出すだけでも感動するなぁ。これでもか! というくらいに本格ミステリです。無駄がない。
「《アリバイ崩し》=時刻表」という図式が僕の中にはあって、その時刻表が苦手なためにそういう系統の作品を敬遠しがちになっていたのですが、それは誤解だという事に気づかせてくれる作品でした(まぁ実は鮎川哲也氏の『黒いトランク』を読んでから、そんな偏見どこかへすっ飛んでいますが)。だから、僕のように感じて避けている方がおられるのなら、この作品を読んでみることをオススメします。面白いですよ、本当に。
Update:2004/06/04
赤の組曲
初出:「オール読物」連載(1966年09月〜12月)
角川書店/角川文庫 緑406-11(1978年04月) 解説:武蔵野次郎
千草泰輔検事のもとに、大学時代の旧友で、現在は出版の仕事に携わっているという男が訪ねてきた。昨年、子供を轢き逃げされ、そして今度は妻に失踪されてしまったのだという。同情を覚えた千草検事は、男の妻の捜索を引き受けることにした。
しかし、これは赤に彩られた難事件の前奏曲にすぎなかった……。
面白く読めましたが、土屋作品の中ではあまり出来が良くないなぁ、と感じました。
次々と謎が錯綜し深まっていくのは良いのですが(だからこそ面白い)、中心となる謎がどれなのかはっきりとしないために曖昧になってしまって、終焉での驚きも半減してしまっていると思ったからです。
とはいえ、解説にもあるように、小説としてはとても面白くて飽きずに読めますが。
うーん……。
Update:2004/06/04
縄の証言
初出:「別冊宝石」掲載(1967年04月)
→『赤の組曲〈新装版〉』収録
加えて、消した
初出:講談社「別冊小説現代」掲載(1968年01月)
→『孤独な殺人者』収録
→『針の誘い〈新装版〉』収録
穴の牙
初出:三一書房(1968年04月)
光文社/光文社文庫 つ2-9(1990年02月) 解説:郷原宏
収録作品
穴の設計書/穴の周辺/穴の上下/穴を埋める/穴の眠り/穴の勝敗/穴の終曲
針の誘い
初出:「推理」掲載(1970年08月)
角川書店/角川文庫 緑406-9(1977年05月) 解説:島崎博
妻に捧げる犯罪
初出:光文社/カッパ・ノベルス(1972年04月)
角川書店/角川文庫 緑406-16(1981年05月) 解説:武蔵野次郎
光文社/光文社文庫 つ2-7(1988年10月) 解説:山前譲
→『土屋隆夫推理小説集成4』収録
→『妻に捧げる犯罪〈新装版〉』収録
闇の中で電話のダイヤルを回す男がいた。思うがまま任意に選び出した番号。月ヶ丘女子短大助教授という地位にありながら、幼稚で陰険な“イタズラ電話”という習癖にとりつかれた男。交通事故で男性としての機能を失い、そのため妻に不倫をされた挙げ句、さらには不倫の現場であるホテルでの火事で彼女を失ってしまった男。この悲しみから逃れるために、男は“イタズラ電話”をはじめたのだった。
ある夜。いつものように男はダイヤルを任意に回した。すると繋がった相手に、殺人事件の共犯者と勘違いされてしまったのだ。それに気づいた相手はすぐに電話を切ったのだが、男は記憶に残された少ない会話から、相手はどこの誰で本当に殺人が行われたのか探り始めたのだった……。
発表されてから三十年以上が過ぎているにもかかわらず、今読んでも斬新でスリル溢れる発端です。読み始めるとあれよあれよという間に読み終えていました。巧い。決して主人公の男に共感などできはしないのですが、それでも読ませられてしまうのです。
勿論あの土屋隆夫氏の作品ですから、本格ミステリとしての面白さもちゃんと備えていて、ただのイタズラ電話から相手を探り出していくその過程は圧巻です。しかし、この作品では電話の相手が見つかって(謎が解けて)はい終わり、ということはなくまだまだ物語は続きます。どんな展開が待ちうけているかは──書けるわけがないじゃないですか。未読の方は是非読んでみて下さい。凄いですよ。
Update:2005/03/09
しつこい自殺者
初出:講談社「小説現代」掲載(1973年11月)
→『ねじれた家』収録
→『妻に捧げる犯罪〈新装版〉』収録
気まぐれな死体
初出:「小説サンデー毎日」掲載(1974年02月)
→『妻に捧げる犯罪〈新装版〉』収録
盲目の鴉
初出:光文社/カッパ・ノベルス(1980年09月)
光文社/光文社文庫 つ2-1(1984年10月) 解説:安間隆次
九十九点の犯罪
初出:光文社/光文社文庫 つ2-2(1985年03月) 解説:山村正夫
収録作品
夫か 妻か/開いて、跳んだ/九十九点の犯罪/見えない手/民主主義殺人事件/わがままな死体/Xの被害者
不安な産声
初出:光文社(1989年10月)
光文社/カッパ・ノベルス(1991年10月)
光文社/光文社文庫 つ2-14(1994年10月) 解説:郷原宏
推理小説作法
初出:光文社(1992年02月)
東京創元社/創元ライブラリ Lつ1-1(1996年07月)
孤独な殺人者
初出:光文社/光文社文庫 つ2-13(1994年06月) 解説:山前譲
収録作品
淫らな骨/加えて、消した/情事の背景/淫らな証人/正当防衛/孤独な殺人者/ゆがんだ絵/肌の告白
ねじれた部屋
初出:光文社/光文社文庫 つ2-16(1995年06月) 解説:縄田一男
収録作品
しつこい自殺者/泥の文学碑/夜の判決/天国問答/空中階段/夜行列車/ねじれた部屋/「罪深き死」の構図
媚薬の旅
初出:光文社/光文社文庫 つ2-17(1996年01月) 解説:新保博久
収録作品
芥川龍之介の推理/風にヒラヒラ物語/盲目物語/死の接点/小さな鬼たち/二枚の百円札/傷だらけの街/媚薬の旅
深夜の法廷
初出:光文社/光文社文庫 つ2-18(1996年10月) 解説:中島河太郎
収録作品
深夜の法廷/半分になった男
花夫婦心中
初出:光文社「EQ」掲載(1997年05月)
→『妻に捧げる犯罪〈新装版〉』収録
ミレイの囚人
初出:光文社「EQ」連載(1999年01月〜?)
光文社(1999年07月)
光文社/光文社文庫 つ2-21(2000年12月) 解説:郷原宏
土屋隆夫推理小説集成4 妻に捧げる犯罪/盲目の鴉
初出:東京創元社/創元推理文庫 Mつ2-4(2000年12月) 解説:麻耶雄嵩
収録作品
妻に捧げる犯罪/盲目の鴉
影の告発〈新装版〉
初出:光文社/光文社文庫 つ2-22(2002年03月) 解説:山前譲
収録作品
影の告発/寒い夫婦/美の犯罪
聖悪女
初出:東京創元社(2002年03)
光文社/光文社文庫 つ2-31(2004年10月) 解説:末國善己
危険な童話〈新装版〉
初出:光文社/光文社文庫 つ2-23(2002年04月) 解説:小梛治宣
収録作品
危険な童話/判事よ自らを裁け/変てこな葬列/情事の背景
First update:2001/10/05
Last update:2007/01/16